クラウンは和製パナメーラやギブリになる?かもしれない 試乗インプレ

レクサスのLSをボディ幅狭めればクラウンじゃないのか?と思ったらどうやらプラットフォームは共通とか・・ルーフからトランクへのなだらかな落ち込み、クーペ風というかファストバック風の斜め後方からのデザインとかポルシェパナメーラやアウディA7、マセラティギブリを少しダウンサイジングしてスケールダウンしたみたいな、と言ったらほめ過ぎだろうか?



バックサイドのフェンダーやリアドアのウィンドウ周りとかにこだわりを感じる。



セダンのみのラインナップでワゴンを用意しないというラインナップで、セダンとワゴンの間のセダン寄りのルーフの傾斜といった感じでしょうか。

リアシートのゲストのヘッドクリアランスとクーペテイストのルーフラインとを上手くまとめた感じと評せるかな。



試乗したのは3.5リッターハイブリッドRSアドバンス。大排気量にパワーハイブリッド、正直、パワフルすぎる。オラオラした土建屋の社長のドライバーズカーとかにうってつけ、くらいの粗暴な加速を見せます。パワーに対して前後方向のピッチングの挙動は上手く躾けられていると感じるが、コーナリング時の左右方向のロール制御は甘い感じ。パワーが勝ちすぎてハンドルに舵角が付いた状態でのアクセルオンには沈み込みや傾きに一瞬不安を感じる。



ハンドルは往年のクラウンのようにアシストが強すぎて指一本でクルクル回るなんてことはなく、しっとりとしている回し心地。比較的軽めではあるけども、遊びが気持ち少なめでダイレクト感を演出しようとしているのか?と勘ぐってしまう。

特段クイックという事もなく、万人受けする扱いやすいハンドリングと言える。


良いと思ったのはブレーキ。回生ブレーキと大き目のキャリパーのコンビネーションで強力なストッピングパワーを発揮してくれる。

前後方向の車体の挙動は落ち着いているので、車体全体が沈み込むようにメルセデスベンツやBMWのように吸い付くようにスピードを殺してくれる。

この欧州車的なフィーリングが開発時にニュルを走りこんだという証なのか。


LSなどのブレーキキャリパーは純正パーツ流用カスタムとして用いられることも多いが、新型クラウン3.5リッターの絶対的な制動力とブレーキを踏み込んだ時のタッチが良い。

そう思っていたら、3.5リッターハイブリッドのみ対向4ピストンアルミモノブロックキャリパーが装備されているそうな。


全長4,910㎜ 全幅1,800㎜ 全高1,455㎜ と言ったボディサイズはまずは車体が非常に長い、というのが特徴。以前までのマジェスタがロングボディなどのサイズ違いはなく、クラウンのどのグレードでもスリーサイズは共通。



全幅は1800㎜ということで、国内市場を配慮した、という。2018年の新型カローラスポーツが1790㎜という国内市場を無視した巨大化を果たしておきながら、クラウンは1800㎜・・・トヨタというメーカーのコンセプトがわからなくなる。

カローラとクラウンの車幅が1㎝しか変わらないなんて・・一昔前に誰が想像できようか。その全長に対しての全幅の広くなさが、ハイパワーに対してバランスが悪く、3.5リッターとの相性はイマイチと評さざるを得ない。

やはりLSのような1900㎜に対してのアームなどの設定長が必要なのかもしれない。

パワーとのバランスだと2リッターターボで少し硬めの足回りでゼロクラウンのアスリートテイストか、2.5リッターハイブリッドのマイルドなロイヤルサルーン的な柔らかさか、そういう感じの方が相性はよさそうだ。3.5リッターはアウトバーンをかっ飛ばせるような速さを秘めており、そこらへんも欧州車っぽい。直線番長としてのチョイスはいいのかもしれないが、クラウンというキャラクターには合わないのではないか?


マンマシンインターフェイスも刷新され、液晶を駆使し近未来的なテイストになっている。高齢化していると言われているクラウンのユーザーには少し使いにくい部分もあるのではないかと思う。物理スイッチもあるが、かなり少なくなっており、タッチパネルが基本と言ってもいい。


過去のダサいレタリングだらけのセンターコンソールとは決別し、モダンさを手に入れた半面、熟成が進んでないものはやはり使いにくい。

このあたりの操作性はレクサスでも言えることだが、もう少し洗練が必要である。クラウンのインテリアの黒歴史・・とまではいかないが、結構使いづらいと思う。ヘッドアップディスプレイの設定を変える、とか、たぶんほとんどの人が出来ないのではないか?とか。

その他多数の設定項目があっても、一度も触れず変更されずに終わる可能性のあるインターフェースであろう。年配者に使いにくくすればソレが若者向きになるとは限らず、若返りをはき違えているようにも思える。


インテリアに関しては問題はない。シートのデキだけでなく、乗り心地も含めた総合評価でないと意味がないかもしれないが、着座感もレッグスペースなどの広さも十分確保されている。

VIPを乗せる車として完成度は高い。乗り心地も往年のクラウンのような揺れがずっと収まらないくらいの緩さなどなく、硬質ながらもマナーはいい。飛ばし気味にアクセルを踏み込まない限りは快適である。

路地の狭さや車線数で異なる法定速度に対して、5~10㎞/h低い速度で走る分にはどんなに荒れた路面であっても絶対的な快適さは担保されているのではないか?と感じる。

低い速度域での大きな段差や、比較的弱い衝撃に関してはショックの角を丸めるだけでなく、衝撃音すら飲み込むような、なんとも言えない吸収性の良さがあるように思う。クラウン用にセッティングされたらしい特別チューニングのREGNOタイヤのおかげ化もしない。REGNO(レグノ)と言えばブリヂストンの最高級タイヤだが、車種ごとのOEMなるものがあるらしく、クラウン専用らしいのだ。


一部インパネ周りの質感が低い、と言われることもあるようだが十分に立派で見栄えもイイ。

触った時の質感もソフトパッドの面積も多いだけあってプラスティック的な低級感はない。

あえてレクサスよりか安っぽく仕上げている可能性もあるが、それでもトヨタ系列で買える最高級セダンと言って差し支えない質感は備えており、共通プラットフォームを使い1000万超えが当たり前のLSに比べ5,000,400円~となるクラウンはさほど高価ではない気がしてくるかはおかしなものだ。


いつかはクラウン、というのは死語。というかそんな概念や価値観はそれこそ年配の人の中のさらには一部の人にしか通じないレベルのキーワードかもしれない。

今はアルファードの方がVIP御用達として人気を博しており、セダン人気は低迷している。

ニュークラウンは若返りをはかりセダンの復権を果たそうとしているが、きっとうまくはいかない。初期の受注は人気るように見えても、長期的にはトヨタの販売力をもってしても低空飛行となっていくであろう。

手頃な価格の欧州車のセダンや、ヨーロッパ製のラグジュアリーセダンよりもコスパが高い走りと装備だとしても、長年続くクラウンというブランドであっても難しい戦いをしてるのだと思う。むしろクラウンだからこそ何とか生き残って前向きなモデルチェンジをしているとも言える。

トヨタの底力でセダンを盛り上げてほしいと思う反面、SUVやミニバン人気の今の時代はむずかしそうだ。


セダンなりにクラウンの売れている理由として法人向けのマーケットに定着し、社長や重役、役員御用達の車、というものもある。

法人名義での購入で5年程度所有して減価償却の頃合いを見てまたクラウンに乗り換えるというスキームがあるみたいだ。

税理士や会計士などもクラウンであればプライベート使用でなく社用での経費算入など調査入っても間違いなく否認されない、と太鼓判を押しているとか。


ディーラーにもよるのは間違いないが、取引先や所属団体などであれば3割引きで販売することもあるとかで、法人マーケットに深く根付いた車なんだと思い知る。3割引きでも赤字ではないらしく、取引の中でバーター的に使えればそれでいいようだ。


個人ユーザーであってクラウンに乗るメリットがあるか?それは正直個人の価値観次第と言ってしまえば身も蓋もないが、他に選択肢が多いのが悩ましい。
500~700万円の車選びにおいて、空間効率で言えばアルファードにはかなわない。


スポーツセダンであればBMW3シリーズやメルセデスベンツCクラスの中であればグレードを選び放題、5シリーズやEクラスも狙え無いこともない。そう考えると積極的にクラウンを選ぶ理由はあまりない。


セダンの不人気により、付き合いの長いディーラーでクラウンからクラウンへの買い替え以外では下取りは悲惨である。安く買いたたかれたセダンは地方都市のマイルドヤンキーやDQNな人々に乗りまわされることになり、所有していたオーナーとしてはあまりいい面を感じにくい。


クラウンは見た目も走りもインテリアもナビなどの液晶尽くしなのもモダンに仕上がっているが、そういった諸々の覚悟を持って上級セダンに乗るのが日本国内市場の現状と知り、乗ってみてもいいのかも。


セダンに乗る人にはやはり理由がある・・ジャパニーズセダンの冠たるクラウンはこだわりを持って乗ってほしいものです。


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過去の一発競りでの事例はコチラ


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