鬼のブレーキ×乗り心地良、BMWバイク S1000R ロードスター試乗記 後編
エンジンの特性や加速性能、デザインに触れた
S1000R ロードスター試乗記 前編 からの続きです。
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年式により装備にバラつき
今回は装備やサスペンションなどについて掘り下げれればと思います。
2014年にデビュー以来、年次改良が何度かあり、標準装着品が少し変わっていたりするようです。
初期導入モデルがアクラポビッチのマフラーが標準であったり、クルーズコントロールやDDCと呼ばれる電子制御アクティブサスがオプションだったり、ライドモード切替(エンジンの出力特性)のバリエーションが少なかったり、オートシフターが着いてたり無かったり。
情報を整理しようにも公式サイトと現車で若干違いがあったりと、判別が難しいところもありますが、可能な限りお役に立てればと思います。
ライディングモードなどの先進装備
ライドモードセレクトは『Rain』『Road』の2種類が標準で、『Dynamic』はオプション、『Dynamic Pro』は更なる追加拡張コーディングでサーキットに対応するオプションのようです。
トラクションコントロールとレースABSは標準だそうで、加速ゴケ、握りゴケはしにくいバイクだということは間違いないようです。
DDC(ダイナミック・ダンピング・コントロール=電子制御セミアクティブ式サスペンション)はオプションだそうで、クルーズコントロールとのセットとか?サスペンション特性はライディングモード切り替えと連動していて、スロットルの応答性、エンジン出力特性、レース ABS、DTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)と強調して制御され、トラクション性能とコーナリング性能と安定性と言う矛盾しがちなファクターを高次元で両立させてくれることになるようです。
私の試乗したモデルはオプション全部載せと言うことだったようで、ダイナミックに設定するとハイスロ化したかのようなスロットルレスポンスで右手の動きに敏感に反応、サスも硬めになって路面の良いところでは吸い付くような動きを見せます。
ペースが高いワインディングやサーキットなら恩恵を受けることが出来そうでしたが、一般道では硬くて車体が跳ね気味、高速の継ぎ目でもかなり衝撃を受ける印象です。
逆にレインにするとすべてが穏やかでマイルド、アクセルの反応も馬力はあるけどかなりひねらないと全開にならないような感じで、サスも柔らかく乗り心地もかなり良くなります。
サスはレインで、アクセルはダイナミック、のように個別に細かく設定できるようですが、半日の試乗では使いこなせませんでした。
充実の装備
バイクのクルーズコントロールと言うのは珍しいアイテムかもしれませんが、高速道路を一定速度で走行するときに非常に便利だと思いました。左側のスイッチボックスの上部にあり、ブレーキ操作でクルコンがキャンセルになるタイプで車のものと同じような感覚で使用できます。
いずれはレーダーセンサーで前車追従アダプティブクルーズコントロールのようなものも出てくることを期待したいです。
シフトアシストもオプションの組み合わせで装着されるようで、スロットルを開けたままクラッチ操作なしにシフトアップが可能です。
R 1200 Rなどに装着されているシフトアシストプロ と違ってシフトダウンには対応していないようです。
アクセルを開けていく過程でのシフトアップではスムーズにシームレスにショック少なく作動しますが、パーシャルでシフトアップしようとすると結構衝撃が来ました。
3速よりか上のギヤへのシフトアップに関してはものすごく恩恵があると思いましたが、1~2速、2~3速も、クラッチ切って自分でつないだほうが滑らかなのでは?とも思いました。
特にタンデムとかで負荷がかかっている時では衝撃も大きくなりそうなのでまだ改善の余地はありそうな気がします。
ブレーキ性能が良い
ブレーキの効きはBMWのバイクで共通の美点として挙げられると思いますが、効きが良くコントローラブルだと思います。
ブレンボのラジアルマウントのキャリパーで、現時点で世界最高のもので武装しているので当たり前かもしれませんが、タッチも効きも良く、意図的に強めに握ってABSを作動させた時も、フィードバックもマイルドでビックリしたりはしないレベルだと思いました。
R1100 ~R1150 時代のABSは「カシューンカシューン!」と連続した作動音やレバーへの反動があったように思いますが、自然な感じに進化していると感じました。
サスやトラクションコントロールなどとの連携でコーナリング中に握ってもコケる可能性がかなり低くなっているそうなので、安心感が高い装備ですね。
できれば全車種に標準になっていってほしいものです。
ハイパワー4気筒ネイキッド
S1000Rはスーパーバイク譲りの156psもの強大なパワーを、誰でも絞り出せる電子制御を備えているのがポイントです。
時にワインディングをスポーツ走行してエキサイティングに、時にパワーを活かして高速道路で距離を稼いで遠くへ出かけるといったスタイルが出来るフレキシビリティがあるバイクと思います。
公道で一人乗りではそのポテンシャルを引き出しきれないと思う方も居るかと思いますが、タンデムや荷物の多いとき、登り勾配での加速などで絶対にパワー不足を感じることのない絶対的な性能はアドバンテージだと思います。
ABSを筆頭に各種電子制御も安全に対しての大きなマージンとなります。ロードスターと言うスタイルもあり、毎日でも乗れる取り回しの良さ、快適性と安全性と余裕、そして飽きのこない楽しさがあると思います。
Sシリーズでも個性を選べる
BMW Sシリーズの価格は
S1000R ロードスター 1,699,000円
S1000XR クロスオーバーモデル 2,110,000円
S1000RR ほぼSSレーサー 2,180,000円
装備やスペックを考えるとSシリーズの中では割安感があるかもしれません。
大き目のスクリーンとトップケースが付くだけでハイスピードツーリングバイクになりそうなんですが、純正もアフターメーカーもパーツのラインナップが少ないのが難点です。
ツーリングユースだとS1000XRがオススメということになりますが、デザインなどの好みと使い勝手と合わせて検討すると良いと思います。
それぞれの車種でポジションやシート高が違ったりするので、跨ってみたり、できれば試乗するのが良いと思います。