トリシティ300と155比較・高速ロングツーリング適正はどうなのか?試乗インプレ②

まだちょっと金額的にこなれて来てはいないけれども、次世代のモビリティの一つの選択肢として3輪バイクというのがあります。


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正直選択肢が広いかとか必然性や積極的に選ぶ理由としては弱く、まだまだ個性派であり異端ではありますが、2014年のTricity革命以来、順調にモデルラインは拡充していて、2020年には300ccモデルが登場。トリシティ300は実車を見るとサイズ的にはデカって思うだろうし、どちらかと言うとツーリング向きなセッティングにも思えるだろうし、通勤のアシってタイプではないです。

Tricity300ABS

試乗インプレッション①からの続き。

逆にロングツーリングにフォーカスした3輪バイクとしての適正、試乗インプレッションとともに解説していきたいと思います。

馬力と重さと加速感

トリシティ300で気になるポイントとしては、そのエンジンの馬力と重量とのバランスでしょう。

単気筒292ccのエンジンで29馬力、悪くない数字です。十分に活発な走りを期待できる馬力とも言えるでしょう。

しかし、トリシティ300はリッターオーバーのバイク並みの重さの237kgと重量級。

サイズも排気量のくくりを取っ払った中でも大柄な部類に入り、
全長/全幅/全高:2,250mm/815mm/1,470mm
スクリーンやフロントカウル周り、前2輪のサス周りなどでボリュームを感じさせてくれるし、実際に重い。停車時などの自立支援するスタンディングアシストシステムがある理由が分かります。

アクセルの開け方にもよりますが、結果的に軽快な加速というレベルのバイクの味付けではなく、かといって鈍重というわけでもないギリギリのセン。

もちろん、普通の250ccバイクやビッグスクーターのような思いの外パワフルな加速感とまではいかず、300ccで車検がある排気量まで行っときながら、250クラスよりも少し穏やかな加速感のバイク、となりそうです。

感覚としては、155ccのトリシティでようやく一般的な125ccクラスの加速感を得る感覚に近いのかなぁ~ってのと似た関係性、300でようやく250並みなのかもしれません。

過去のブログではトリ155でようやく一般的な125㏄クラスの力感といった感じと記したことがあります

1輪多い分の重量増を、プラスアルファの排気量でカバーする、みたいな。

発進からアクセルをガバっと開けるとけっこう回転は鋭く上がりエンジンもそこそこけたたましく唸り排気音の迫力もノーマルマフラーなりにアリ、プーリーとベルトで半クラのように少しスリップさせながらソコソコのパンチを効かせて加速できます。よりバイクの加速感に酔いしれるならマフラー交換などのカスタムも良いかもしれません。スクーターの単調な回転感・ビートなりに抜けの良さで音圧の変化を楽しむためのカスタムってヤツです。


その他にも数キロの軽量化にもなるし、馬力やトルクの若干の向上も期待できます。

バイクでもFRのクルマでも普通アクセルを大きく開けると車体のフロントがリフトする感じになるのですが、フロントヘヴィーな3輪の特性として前のめりな姿勢で加速するイメージです。フロントがグワッと浮かび上がらない姿勢変化を抑えた加速はまるでBMWの独特なフロントサスのテレレバー的な安定感とも言えます。

バイクに刺激を求める人には体が後ろに置いて行かれるような加速感やフロントリフトの姿勢変化も有ったほうが良いのかもしれませんが、トリシティ300はそういうタイプではありません。

バイクに急かされず、安定志向であり、マイルドにしたつもりは無いのかもしれませんが、馬力と重量の関係、重量配分の関係でツーリング適正が自然と伸びるようなバランスに仕上がっているように感じます。

高速走行・最高速のポテンシャル

高速走行時にも馬力の数値の割に重量がかさむこともあって、メリハリ効かせてバリバリ走るというよりも、重さを活かした安定感や一定速度でのクルージングの方が性にあっているような感じです。

トリシティ155やマジェスティSでは高速走行時に速度をキープするのにアクセルを全開にし続けたりしますし、XMAX250などでもやや大きめにアクセルを開け続けねばならず長距離走行時の疲労感につながったりします。

250に対してプラス50㏄程度の排気量の上昇となりますが、それでも少し余裕が生まれ、速度を維持しやすいように感じます。ただ、高速域での更なる加速を求めてアクセルをブわっと開けてもそこのレスポンスは音の高まりの割に鈍かったりしてXMAXの後塵を拝すことになりそう。

車体も重さとフロント2輪の動き、長いホイールベースなどと相まって、比較的路面の荒れやうねりに対しての進路を乱されにくいという外乱への強さ、いなす能力が高いとも感じます。

フロントサスの機構でアッカーマンジオメトリだからとかは良く分からずとも、走って自然な挙動であり、そして安定感も有ります。

フロントタイヤサイズは120/70-14 ×2 リアタイヤは140/70-14 となっていてTMAXなどマキシスクーターの前後15インチよりも少し小径であり、リアタイヤの幅も160とかではなく140幅ですね。

専用タイヤのブリヂストンバトラックス

独特なタイヤサイズとなり、登場当時はBridgestoneのバトラックスの専用新開発タイヤをあてがわれています。ミシュランやダンロップ、IRCなどでも同様のサイズがあり履き替えも出来るでしょう。

高速走行時も含めてトータルでの安定感で言えばTMAXよりもマイルドかなってところ。

加速のキビキビさでは50馬力近い出力を誇るTMAX560には全くと言って良いほど及びませんが、安定感・安心感などではクラスを超えて逆転していると言えそうです。

ツアラーと操る楽しさと

褒めているのか貶しているのか微妙な表現ですが、非力なBMWのツアラー、みたいな感じです。

独特なサスペンション機構で安定感良くABSを備え、高速走行が得意で乗り心地も良い、まさにR1250RTのようだ…重量も近い237キロ、しかし29馬力…ってのはいろいろ比較としては可笑しいというのは重々承知ですが、言いたいことは伝わるでしょうか?

とは言ってもモーターサイクルとしての楽しさ、ライディングプレジャーに関してはパワフルなバイクの方が楽しい方も多いでしょうし、コーナリングの駆け抜ける悦びも2輪にこそ醍醐味があるのも間違いないでしょう。

オートマチックスポーツであれば、TMAXがベンチマークでもあり、興味があって」大型自動二輪免許を持っていれば、比較検討していも良いかもしれません。

バンク角に関してもトリシティ125/155よりも確保しているようですけれども、それでもナイケンの45度よりかはバンクしないようです。そういうコーナーを追い込むバイクではないのは3輪の方向性ですので、仕方はないけれども、それでもトリシティ125/155よりかスッキリ爽快にコーナーを走れます。

3輪独特のコーナリングの感覚として、スキーやスノーボードでのエッジに乗った時のカービングターンのようにも感じて、それはそれで気持ちの良いコーナリングとも言えます。

大型免許を持っていなくても乗れる、400以下や250クラスなど小排気量であっても、機能性や装備にこだわったバイクがトレンドになりつつある中で、トリシティ300は強烈な個性を放つ一台として、個性を重視するライダーは検討してみてもいいかもしれませんよ。

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